アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

50年かかったぬくもり

雪の中なのに暖かそう、そのギャップが魅力のかまくら。その中でコタツに入ってみかんを食べたり、ストーブを焚いて餅を焼くのが小学生の頃の夢でした。

雪の厚い壁で守られているので、きっと中は静かで居心地が良いに決まっている。

そんな風に思うと居ても立っても居られず、当時10歳程度の私はそれを絵にしたくなりました。しかも、何を思ったのか、滲みを駆使してふんわりとしたぬくもりを表現しようとまで考えました。

きっと当時絵本かカレンダーでそういう雰囲気の絵を見たのだと思います。和紙の貼り絵だったのかも知れません。だとしてもそれを手持ちの小学校の水彩絵の具で描こうとするとは、我ながら無謀なことを考えたものです。

でも、10歳の私の知識では背伸びしすぎで全く技術が追い付かず、思っているイメージにならず、撃沈しました😅

いじくりすぎて、画用紙にもろもろの粒が出たことも記憶にあります。この時点で「こりゃ、歯が立たないなぁ。。。」と心が折れたと同時に「まあ、いづれは描ける様になるだろう。。。」とも思いました。

それから50年が経過し「あの絵を描きたくなりました。」何とも不思議な感覚です。

 


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今日はトライアンフを見学にやって来た子に絵をレクチャーすると、ツリーの飾りをたくさん描いてくれました。

その絵を見て、ふとかまくらの絵を今すぐ描きたくなってサーっと描いてしまいました。

 

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所用時間はサーっとで5分程です。こたつの天板は子どもの時は平板な側面だけを描いて上にみかん🍊を乗せようと思っていました。

でも今なら逆台形の方が良いと思え、こたつ布団の柄はただの筆の無造作なラインが良いと判断しました。おまけでうさぎをかまくらの頭に乗せました。

この5分には、私が挫折した時からの50年が在ります

大層な話をするつもりでなく、私が風景画を20分で描くとか、ドローイング(ペン画)を3分で描いたと話すと、短絡的に手早く儲けているかの如き誤解を受けますが、それまでの生きて来た時間が在るので、決して手早くはないという事を理解して頂ければ幸いです。

24時間、絵の事を意識して暮らしていますが、全くそれはしんどくはないです。

振り返ってみると、技術云々の問題ではなく、心と手がやっと一致した感覚です。

 

ただ、いづれ描けると思ったのは中学生かそこらで、今日だとは思いませんでした。(笑)

 

【12月6日追記】

翌日トライアンフに通っている男児に「この絵、昨日描いた新作やねん。」と見せました。

すると「こたつの中で猫が寝てそうやな。」とコメントしてくれました。その子は一瞬で世界観を共有して、猫を見たのです。

自由にイメージを拡げてもらえるのは、その人の感受性が優れているからですが、私も「ハッ!とする」最高のコメントをもらいました😊