今日は大阪にある国立国際美術館で開催中のピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展に行きました。
パブロ・ピカソ、ポール・セザンヌ、パウル・クレー、アンリ・マチスなど錚々たる面々から、ジャコメッティの彫刻まで。画集でも観た事がない絵画を拝見出来て本当に有難い機会になりました。
美術館の照明は作品保護の観点からかなり暗く、しかも紫外線を含まないネオン色が当てられます。以前にも一回同じことを述べた気がしますが、色温度的にブルー系の発色が極端に沈みます。
自分の脳内でそれを補正しながら観ることは慣れてはいるのですが、鑑賞者が本来の色を楽しめないというのは本当に作家にとっては不本意な事です。
一介の絵描きとして大いに同情を誘うのでした。現代の技術であれば、UVカットで反射もしない特殊なガラスを設置したり出来ると思うのですが、どうにか改善される事を望みます。
更にびっくりしたのは全出展作品中、撮影禁止に指定されている4作品以外は写真撮影が自由という事でした。
時代は変わったものです。
会場では真摯に原画と対峙する方よりもスマホやカメラで記憶に留める様に撮影する方が多数を占めていました。
しかし、この条件の悪い照明の下で、原画を写真化するという事は、あまりにナンセンスだと私は感じるのです。色彩・輝度・明度・コントラストその他、肉眼で観て受け取る情報がやせてしまったり、歪曲されてしまうからです。
一番肝心なのは原寸大でしか感じられない存在感が失われて全てミニチュア化する事です。それは最早原画ではありません。
絵画鑑賞は私にとっては、体験であり、風を感じること、物質を通じて対話して別れる事。一期一会の縁なので、写真撮影は上の記念写真で充分です。
この写真を撮ってもらったのは、ピカソとのツーショットの意味合いが濃く、また大きさ的にバランスが良かったからです。
この絵にあった色でとても気に入った淡いピンクの箇所があるのですが、やはり写真では全く再現出来ない。これが現実です。
それらを差し引いても絶対に勉強になるので、絵を勉強している方は是非お出掛け下さい。