アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

念願が叶う日

2019年に小説家、白石一文氏の「松雪先生が空を飛んだ」の扉絵描き下ろしご依頼を頂き、月刊誌の連載で一年少々関わらせて頂きました。ところが予想していない事が起こりました。かなり盛り上がって来たところで諸事情により唐突に掲載休止になったのでした。それが2020年の3月頃でした。それから早2年以上が経過しました。

その時の記事がこれです。https://yasunariart.hatenablog.com/entry/2020/03/29/025152

私はずっとこの小説の完結に立ち会いたいし、あわよくば最後の一枚の扉絵を描かせて頂く事が叶えばと願っていました。

今日不意に編集担当の方からご連絡を頂き、なんと白石さんが小説を完結されたとの事で、掲載に合わせてラスト一枚の扉絵の依頼を頂きました。私は時が経過するにつれ、半ば完結はもうあり得ない夢に終わるのかもと思っていただけに、本当に震えるくらい嬉しい気持ちになりました。

私が最後まで描かせてもらえる事自体、光栄ですが、それ以上に「松雪先生が空を〜」の完結に立ち会える事に感謝します。表現や作家に関わる者に共通しているのは、自分が納得出来ない作品が流通するくらいなら、消えた方が良いという感覚です。

私も絵描きの端くれですから、人が納得するとかは二の次であって、自分が描けたと思えるかどうかが重要です。出来不出来はどうしてもあるのは仕方ないとして、その時なりにやり切ったものを提供したい。それを批判されようが逆に自分で後悔がなければ構わないと常々思いながら作品を世に出しています。

それは頑張れば良いとか、努力とかではないし、自己満足とも違います。それは素人の基準としてはありですが、プロを自認する場合は、なんというかもっと孤独で、ストイックなものが付き纏います。孤独に彷徨い歩いて、自分の限界を抜け出たかどうかに固執する感じです。

意味がよくわからないと言われても、そうとしか言えないので、ご容赦下さい。今回のラスト一枚の扉絵は、それに向き合えるという意味で、念願が叶う日がやって来てわくわくします。

今年はオリジナル絵本「星つりじいさん」作画で仕事は終わると思っていました。それは壮絶な葛藤や実現したいレベルに行けるか?何か突き破れるかへの挑戦でした。自分との格闘で疲弊すると予想しての事でした。

なので、今年のエネルギーを全て注入してしまって放心状態になると想像したのですが、意外な事に抜けた実感が伴うとあっさりとしていて、まだまだやれそうに思っていました。このタイミングでとても楽しみな(更に困難な)仕事を頂けて、心から感謝しています。

また孤独に戻って挑戦出来るのですから、こんな面白いことはありません! 小説とのコラボ、やり遂げたいと思います。

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   ※このイラストは「星つりじいさん」で一番気に入っている絵です。