アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

弱い風景画

昨日の投稿「弱さ」内でお伝えした様に、弱い風景画を描きました。モチーフは、これまでも好んで描いて来た、午後の陽射しを受けるベオグラードの下町風情です。結果から言うと、弱いどころか、どちらかと言えばとてもしっかりとしています😆 何故か?

 

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先ず、緑の水性色鉛筆で下描きしたのですが、遠近感を全部はぐらかしました。これは毎回一貫しているのですが、ハードな感じが避けられます。

着彩では、印象を弱くする為に配慮したのが色彩の濃さ(明度)です。無地の水彩紙を0%で、真っ黒を100%だとして、一番濃く(暗く)ても65%までで収めました。これでコントラストが弱まります。

次にタッチですが、入れているようで、全て寸止めにしています。タッチ1つのエッジを曖昧に終わらせています。

そして、線描です。形の説明的な囲み線を一本も入れていません。所々入っている様に見えても途中で離しています。これらの手法によって画面は弱い絵になる筈でした。

ここまでしてもしっかりと感じるのは、私の内面が強いからです。思い入れとでもいいますか。。。

現場で描いているつもりで臨めたのは、自分で歩いた場所を記憶に留めるように写真を撮っておいたからですが、そういう条件が整わない限り、今回の様な絵は出せないと思います。

画面は強くてエグ味が出ているのに、内面が弱い絵は頻繁に描いてしまいます。この場合の弱さはとても肯定出来ません。「弱い風景画」を描こうと試みて、その事を身に沁みて気付きました。これは大きな収穫です!