アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

物差しで描く

昨日大津オルタナティブスクール トライアンフで、透明水彩独自の滲みに抵抗感をもつ子供がいるという話を聞いて、ドキッ!としました。

多くの方が滲みを魅力的な表現だと感じられる一方で、自分の意思に反してどうなる予測不能な感覚を不快・不安に感じる人がいるのは理解出来ます。これはASD(自閉スペクトラム)などの傾向がみられる人に顕著です。

それを鑑みれば、水の魔力や、色が滲むのが透明水彩の最大の特徴だと吹聴するだけでなく、そればかりではない管理コントロール出来る表現技法、もしくは不安を回避して楽しく受け入れられる表現の存在がある事を伝えねばならないと、大いなる気付きをもらいました。

透明水彩は水が絵の具よりも重要な画材だという認識をする必要があるので、それは使わずに、小学校で提供される不透明水彩(ガッシュ)の絵の具セットを有効に使ってみる事にしました。

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これは、私の作品ですが、チューブから白絵の具も含めてたっぷりと直接紙の上に置き、物差しをヘラにしてバターを塗るように伸ばしただけです。水は0です。

グラデーションや、予測不能な画面にはなるのですが、時間経過によりそれが変化する事がありません。つまりは物差しで伸ばしている先から目視確認が出来るので、面白いと思えばエスカレートさせたり、逆に嫌だと思えば即時止める事が出来ます。

これにより、自分の感覚によりアクセルとブレーキを調整出来ている安心感が得られます。

 

いつも一緒に描いているK君は、赤と青と黒で圧倒的な画面を一瞬で作りました。この抽象画は、ニューヨークなどのギャラリーなら即刻完売でしょう。

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ニューヨークはアクリル絵の具の需要がとても高く、こういった作品は畳くらいのサイズでもインテリアとして好んで買う人がいます。

作者K君自身は、私が騒ぐほど気に入っていないそうですが、それも良い事です。私が褒めたら自信が出て、良いと思う子供もいますが、主体性がしっかりあるのは素晴らしいと思います。

 

これはスタッフ、Mさん作品。夢中になって「楽しい〜っ!」と言いながら、次々と作られましたが、特に最後のこれが気に入っておられました。

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私も同感で、赤と緑の箇所が作品を引き締めていますね!

絵の具セットは一気になくなりましたが、1時間ちょっとで、没含めて10作品ほど出来ました。

私も久々に水を使わないで描きましたが、これはこれで癖になりそうで、やっぱり絵は無限の魅力があって嬉しくなったにでした。