アトリエ青 Atelier Blue

画家・アートディレクター 石田泰也の日々の活動風景をお届けしています

水彩画が出来るまで−母の場合−

ほぼ私の日記・屁理屈・極論投稿の場と化している(今後も方向性は変えない)アトリエ青ブログの中で、まだ好評と言えるのが、一作が完成に至る迄の工程を段階的にアップする「一枚の水彩画が出来るまで」です。とは言え、今回は母親の作品なのです🤗

82歳で初めて透明水彩に挑戦し、まだ2作品しか上げていませんが、焦らずにゆっくりと。2時間集中したら止めるのをモットーに2ヶ月に一枚のペースで取り組んでいます。

完全無償親子レッスンなので、これ以上ない程、懇切丁寧に私がレクチャー・助言しても、自分でいざ描くと簡単そうに見えて上手くいかない母。そのジレンマに次第に妙なライバル心を燃やして「もっとチャーッ(さらさらの意)と描けるかと思ったのに。」と毎回文句ばかり。3枚程度でそんな都合よく行く筈がないのですが。。。


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でも、花が好きな母の生き甲斐になってくれるのは嬉しいものです。上の2枚は初歩向けのモチーフを選んだのですが、そこそこ描けているので、3枚目は急にハードルを上げてみました。

写真を見せると「これ良いけど、難しそうやなぁ」と言う母に対し「絶対に飾れる作品にする事を保証するから。」と約束したら描く気になりました。厳禁なものです。

さあ、それからが大変。テーブル上の食器などは、簡単にデッサンの理論も補足説明しながら下描きだけで4時間掛けました。花はマスキングを施して、いよいよ着彩。

f:id:IshidayasunariART:20220304154811j:image微に入り細に入り徹底的に指導し、何故そうしないといけないのか意味はわからないけれど従ってもらう事に。そうして乾いた時に「なるほど!」と合点が行くように進めました。

背景は壁で塞がれていますが、息が詰まった画面にならない工夫が必要です。テーブルクロスの陰影やクッションも含めて滲みのみで描くように。レクチャーをして見せては実践の繰り返し。
f:id:IshidayasunariART:20220304154819j:image花を際立たせるにはマスキング箇所に微妙な濃さの着彩をしておくのもポイントです。葉っぱをそっと置くように追加。

陶器のティーポットを描くのにだいぶん苦戦して、ヘロヘロになった母😅
f:id:IshidayasunariART:20220304154817j:image丸いトレイと紙コップまで何とか着彩しました。筆のタッチは使わずに、透明水彩初歩は出来るだけ違う色彩同士を軽く当てるだけで、充分色の深みや質感を出せる事を実感してもらうのが大事。全ての色彩プランをその都度一緒に考えて一歩一歩着実に。

テーブル上のナプキンやグラスの中のシャンパンみたいな飲料と、白いスチールのチェアーの陰影を入れました。
f:id:IshidayasunariART:20220304154814j:imageそして、いよいよ大詰め。マスキングを剥がしたところで、2時間終了。

ここから肝心の花の着彩をして、食器などのエッジをもう少し起こしたら完成です。後2時間ですね。この段階では「ボヤ〜とした感じが気になる。」と母は言いますが「すべて先を考えてやっているから大丈夫。一気に巻き返すよ。」と応えて安心してもらいました。

そして今日ついにのべ8日、20時間を近くを掛けて完成。どうしても描けないグラスの雰囲気については、やむなく私が少し手を入れたものの、99%は自力で出来ました。

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小鳥の眼や紙コップ、グラスに水性ペンでアクセントを入れて水で少しインクを抜くなど細部は筆以外も使いました。

f:id:IshidayasunariART:20220306123302j:image自分の絵を描く時は、着地点がわからないライブ感を最大限に活かしますが、教える時は真逆で、最初から私が見通して完成した絵をイメージしておいて進めます。そこに教わる側の好み、主張が出て来た場合には明確な理由を伝えてから採用か却下をします。

完成したところに注文していた額がグッドタイミングで届いて早速額装し、照明も当ててみました。

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次は私も公募窓口をしているセルビア、シロカスターザの国際水彩画交流展MBDj14にエントリーして欲しいと頼んでいます。「何を描こうかなぁ〜。」と言ってるので、恐らく出展すると思います。

「一般的に個人レッスンでここまでやると、万単位の受講料が要るけど、ただで良かったなぁ。」と私が言うと「あんたを産んだのは私やからな!」の一言で切り返され、ぐうの音も出ません😂 「はい、正におっしゃる通りでございます。」