アトリエ青 Atelier Blue

画家・アートディレクター 石田泰也の日々の活動風景をお届けしています

初心

アルバムを見ていたら懐かしい新聞の切り抜きを見つけました。48歳の時に画家デビュー宣言し、49歳で待望の初個展をした際の取材をまとめてもらった記事です。現時点(2021年)で57歳ですから8年前となります。顔は引きつり笑いをしており、とても恥ずかしいので、ほぼカットしてアップしますが、拾ってもらっている発言自体も良く言えば初々しい、悪く言えば青いしで我ながら赤面します。この頃は当ブログもまだ運営していなかったですね!

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だからと言って今の自分が何かを悟ったのかというと、決してそういう訳でもなく、気付きの積み重ねは感じはしても、相変わらず青いままでいる事は自覚しているのです。また、一般論として「初心忘れるべからず」という格言がありますが、個人的には「初心は意識的に捨てるべし」と思っています。代わりにその責任を負うのも自分であれば良いのです。何故そう考えるに至ったかを少しお話しします。

小学生の時「将来の夢は、歴史に名の残る様な名画家になりたいです。」と公言。

美術系大学生時代は、「絵を描いて神に近づきたい。」「高尚な感覚を醸し出す絵を描きたい。」と公言し、周りをドン引きさせていました。その事にも気が付かず、更に今度は「私は現代美術の寵児になりたい。」と言う頃には完全に自分を見失ってしまっていたのでした。卒業する頃には絵画に限界を感じて、ほぼ断筆状態に。映像表現(自主制作映画)、小劇場演劇に足を踏み入れるなど、手当たり次第表現メディアをかいつまんでは迷走しました。

全ては若気の至りであり、犯罪を犯した訳ではないので罪に問われはしないものの、これら全てに挫折したことが今の私の基盤です。話を「初心」に戻すと「歴史に名を残す様な名画家」となります。そこには自分を虚栄心で満たしたいという誤った判断しかありません。虚栄心はある程度の自信を保たせる程度に持つのは問題ありませんが、優越感、上昇志向、上から目線等が付随した途端に非常に拙い方向に向かいます。私はあらゆる表現を模索しながら結局は虚栄心を如何に満たすかを模索していたに過ぎなかったのです。それから画家デビューまで20年掛かりました。

画家になって完全に払拭出来ているのかと問えば、それは非常に微妙で人間として不完全なものですから、ついつい虚栄の感覚を覚えます。ある種、快楽中枢を刺激するので、本能なのかも知れませんが、それは絵描き以前に人として道を誤ってしまう怖いものだという理解だけはしています。だから「初心は意識的に捨てるべし」という結論に達したのです。

優越感や上昇志向は人間にとりプラス要素だという感覚は世の中の大多数を占めており、何がいけないのか理解できないという方は、私のブログを読むのをやめて頂ければいいのですが、優越感を達成感、上昇志向を自己探究と置き換えてみれば、他者を出し抜く感覚はかなり免れます。これだけでもかなり道を誤る事を回避する対策としては有効かと思います。

今日は8年前の切り抜きを読んで、ふと書き綴った次第です。

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※写真はガラスランプオブジェに挑戦した時のものであり、本文と直接の関係はありません。