アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

撒き散る鱗粉

先日原画のSALEを検討している旨を書きましたが、勿体ぶった言い分であり、色々と考え末、最後は原画を燃やそうという結論に達しました。海外で個展をしたら値札を付けていなくても「l like too much!(とても好きだ) How much?」とごく自然に言われます。その時は売った方がしっくり来るし、渡航費の足しにもなるので助かります。

でも日本ではポストカードにでもしてみようと思います。作品は紙であり、それ自体に左程の価値はありません。アーティストは光に群がる夜光虫(蛾)の如き存在であり、その光が原画だと最近は思います。戯れて羽を触れ合わせて撒き散る鱗粉。その瞬間こそがアート。光はいづれ消えて、鱗粉も儚いものでありたいと思うのです。

前置きはさておき、昨夜は知り合いのTさんが描いた落書きを見て唖然としました。回転させながら画面を構築したのでしょう。

 

f:id:IshidayasunariART:20201130004613j:image

 

カレンダーの裏紙に描かれた無欲なイラスト
f:id:IshidayasunariART:20201130004644j:image

 

それはどの面から見ても作品世界がぐるぐる変わりながら展開し続けるのです。
f:id:IshidayasunariART:20201130004639j:image

 

私はこれが欲しくて仕方がないのですが、近々捨てられる運命にあります。
f:id:IshidayasunariART:20201130004648j:image

こんな理不尽な事があって良いものでしょうか! これは私のイラストとは比べ物にならないくらいに素敵だと思うのです。

私は何としてでもこれが処分されるのを回避したいと思います。描いた当人は落書きだからと処分も意に介していません。でも、そこから大いなる学びを得たのです。

私の心は蛾になってこの光に満ちたイラストに群がり羽をずっとパタパタさせて舞い踊って興奮しています。それが一夜明けても止まらないのです。それは本物のアートだという証拠です。