アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

プロとアマチュアの共存

絵を描かなくなって一週間です。凄く長く感じますが、気にせずに毎日映画を観ています。一方で昨日は、水彩画教室受講生のSさんが、徹夜で作ったという作品を持って来てくださって盛り上がりました。Sさんは私と同じく原理で作品を作られる貴重な存在です。私の教室でもいるだけで、普段はほとんど何もしません。ところが、年に数回パッションが火花を散らせる様に創作されます。この半球の黄色い太陽の様な量感、でも平面的なのはコラージュだからです。非常に軽快な作品です。

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次もSさんが好む繊細な三日月フォルムを活かしたカンディンスキーの様な旋律を思わせる作品。きっとカンディンスキーをご存知ではなく、たまたま似たというところが面白いですね!

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最後は水彩でも何でもないですが、Sさんにとってはこれがアートなのです。家で作る時間を慈しみ、それを眺めて慈しみ、教室でみんなにそれをおすそ分けしに来られる。この循環が4年続いています。

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この自由さ、主体性こそがアマチュアの良さであり、プロが上とかでは決してなく、共存すべき事が理想だと思います。

悦楽を通じて学ぶ

もう5日間も絵を描いていません。昨年末から今までになく、私の絵を購入希望される方が絶えません。私は需要に配慮した売り絵を描かない主義ですが、そんな絵を欲しがる方々にめぐり合う頻度が高まっている事に戸惑いを感じます。それで描けなくなっています。描かなくても24時間ずっと佇まいは画家です。見かけや素振りではなく創造者ではなく原理で描くという在り方を遂行する暮らしぶりです。人間が創造に直接関わる上で一番最上のものは人間(子供)ですが、アートは人間らしさを醸す程度のものですから、創造するなんておこがましい訳です。

優れたアートや映画に接して研ぎ澄まし、吸収し(誤解がなければ盗むもあり)悦楽を通じて学ぶ。これを常々大事にしています。一本の優れた映画は海外の一人旅に似た物凄い経験を呼び覚ましてくれます。今日はブックオフで拾い物を2点見つけました。

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イランの名匠、アッバス・キアロスタミ監督の「クロースアップ」

昔、映写技師をしていた映画館ではキアロスタミ監督特集などを企画して自ら映写したものですが、テスト試写などで部分的に見る事があっても全編を鑑賞していないのです。今後一生シネコンで上映される事はないと思います。映写技師はただで映画をずっと観ていると思われがちですが、実際は大違い。映写機のメンテナンスやフィルムの補修や点検などにずっと追われているので、映画を運転している感じに近いのです。

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キアロスタミ監督の何が凄いのかというと、穏やかで静的なシーンでも映画のダイナミズムに溢れているという事です。今年はこの監督のblu–rayボックスが出るので全部買って勉強し直します!  

 

もう一本は1934年のジャン・ヴィゴ監督「アタラント号

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これは未見でしたが、また機会をみてお話し出来ればと思います。

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