アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

曖昧さの中に

 

昨日は師匠と、その友人の車でショッピングモールに遠足に出掛けました。

一緒にうどんを食べて、ブックオフで旅行用の大きなスーツケースを5,000円で購入。

やっと来月の一ヶ月のセルビア旅行の準備が始まったかんじです。

その後は別行動で私は黒沢清監督の「散歩する侵略者」を鑑賞しました。

 

私のプロフィールにある様に20年以上、アート系の映画館で映写技師やマネージャーをしていたので、日常的に映画浸っていました。

 

黒沢清監督には来館頂き、直接お会いしたことがあります。

舞台挨拶で登壇頂き、お客さんの質疑応答の中で「映画を撮るのに監督の才能はあまり関係ありません。むしろ、こういう映画が撮りたいという発想が出てから実現までに、脚本がお蔵入りになったり、諸事情でクランクインが何年も延びる事が多いですから、その間にも情熱を絶やさずにいる事が大変です。なのであえて言えば諦めない才能は必要かも知れませんね。」と仰いました。

 

もう10数年も前の話ですが、今でも凄く印象に残っています。

黒沢清監督の映画は決して一般受けしませんが、真っ直ぐで強靭な志があります。

私はそこが大好きなんです。

 

映画も絵もフォルムが曖昧でも自分で貫いている方向性があれば、しっかりした作品になります。

前回の絵があまりに固くて真面目だったので、今日はもっと曖昧さの中に埋もれる様に描こうと思いました。

 

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横幅60cmくらいと結構なサイズです。

フォルムを崩せるだけ崩し、気配が物質的存在感を超えて欲しいという想いを込めてみました。

 

曖昧さの中にあるのは何の気配か⁉︎  

それは観た方が決めれば良いのです。

心静かに

 

今日は知り合いで将棋の振興活動を精力的にされているMさんとお話しする中で、とても良い教えを戴きました。

Mさんによれば、将棋を通じて一番学べるのは、コミュニケーションなのだそうです。

 

思考力や洞察が深くなるのは、将棋をしない私でも予想出来ますが、実は将棋盤を挟んで向き合う時間の中に無言のコミュニケーションがあり、そこには相手を敬い尊ぶ心がなければ駄目だという事です。

 

これには驚きました。アートと同じなんですね!

私は作品も将棋盤だよなぁ〜〜と感慨に耽りました。

 

志を持っている方の言葉は本当に謙虚であり、本物の人と対話をして非常に嬉しい気分になりました。

 

そんな気持ちが今日の一枚に出ました。

 

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心静かなる日は、奇をてらわない絵を描いてみたくなるものです。

いやらしい売り絵(需要が見込める系統の絵)すれすれの下品さの中に、それをも肯定してみたい仕上がり。

 

意欲作でも何でもないですが、この絵はセルビアの個展できっと売れます。

売れる絵を描くことを目的に絵を描いていませんが、私の絵と出逢って衝動的に欲しくなり、買っちゃう人がいる事には感謝して、その方を敬わなければいけない。

 

画家にとって当たり前の事ですが、そこで自分を保つバランスはとても難しいのです。