アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

惜別

15年、公私に渡りお世話になっているYさんから絵のご注文を頂きました。

これまでもたくさんのご注文を頂いて本当にありがたいです。

絵の方は、それぞれYさんから大事な方への贈り物として、どれが相応しいかを私自身で選んで欲しいと任されました。

ですので、一番大事にしている作品を2点選ぶことにしました。

 

f:id:IshidayasunariART:20240211205131j:image          額装サイズ49cm x 64cm

 

私にとって、自分で毎日眺めているほど愛着を持った作品が旅立つことほど理想的な状況はありません。

逆に自分では納得出来ないけれど、期日が来たので限界だと思って納品する時もあります。

それは後味が悪いし、自分の力不足を感じることでメンタルはやられ、寝込む遠因ともなります。

 

このお風呂屋さんの風景もこの3年ほどの中で、最高傑作だと自負しており「絶対に人手に渡してなるものか!」と考えていました。

ところが、Yさんが贈りものにしたいとおっしゃるのなら「これしかない。」と即断しました。

 

f:id:IshidayasunariART:20240211205135j:image         額装サイズ33cm x 46cm (原画サイズはA4)

 

とにかくお風呂屋さんの原体験を湯気やタイルのピチャっとした質感などと共に味わって頂きたい。

余談ですが、本作をSNSにアップした際には、日本人からの支持はとても多かったですが、ヨーロッパでは黙殺されました😆

これは懸念していた幼児の裸に対するモラル意識の違い。混浴とはいえ、必ず水着を着用する文化の差異により受け入れ難かったようです。

 

ともあれ、日本人にとっては脳内温泉気分や開放感は誰もが味わえると思います。

こうして額装写真を撮影して、最後の別れを惜しみつつ、原画と共に眠れるのも最後。嬉しいのと寂しいのが渾然一体となって、メンタルが非常に波打っています。

同時に自分の作品の先の何か(方向性)が見つかる希望にも溢れています。

まあ、得てして画家はこのように孤独と向き合う面倒くさい人種です。

 

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少しだけ私より年長で、頼れる兄の様な存在であり、間違いなく命の恩人でもあるYさん。

こどもアトリエ青立ち上げの際の経緯をご存知で「もあもあアート」プロジェクトが稼働する数年前から「石田さんの仕事は、絵を通じて子どもの海外交流の架け橋をすること。」と言い切って下さいました。

 

今にして思うとまるで予言の様に先を見通す言葉だったのです。

 

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仕事=収入というのが一般論でしょうから、食えない事に労力を割くことを

ナンセンスと捉える。当然そういう時期は私にもありました。

でも、長い人生の流れで今は巡ってくる縁や役目と大らかに捉えて下さる方がいると、心強い援護射撃になります。

私自身、気持ちの余裕が生まれて来ると、案外、他のことも何とかなっていくものだなぁと思う今日この頃です。