アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

絵と直結しないけど有益な情報

正月以来絵を描かなくなって2週間が経とうとしています。教室の講師としてレクチャーではドンドコ描きますが、作品という意味では全く描いていません。やはり相変わらず一人で映画を観たり、アーティスト仲間との時間を大切に過ごしています。このオフ感ならではの時間の流れはまだまだ続きそうです。

f:id:IshidayasunariART:20190115223548j:image

これは20日に控えた某コンサートの練習風景。でかいのが私😅 3曲歌わせていただきます。

北野武黒澤明の対談をYouTubeで見ていたら1996年の「キッズ・リターン」公開年の「北野武 in国際映画祭シンポジウム」動画を発見しました! 映画評論家山根貞夫と蓮實重彦、台湾の映画監督侯孝賢(ホー・シャオシェン)、カイエ・デュ・シネマ(フランスの有名な映画雑誌)かなんかの時代遅れのフランス人批評家まで、錚々たる面々に囲まれています。痛快なのは知識として映画を体系的に見ていないに関わらず、感覚が図抜けていて気取りがなく、等身大でも凄さがキーンと伝わる北野武の明晰さです。北野武の映画は全作品観ていますが、その上でこういうものに触れると絵を描く上で非常に勉強になります。映画を全部観るのはとてもという方も興味があれば是非YouTubeだけでもご覧下さい。

https://youtu.be/OOaKSnMbpCE

https://youtu.be/9E8Y1Exa_HQ

https://youtu.be/YjKHQZcx9jw

https://youtu.be/UfwWDDaV_CM

https://youtu.be/k9S-Zx_EzEE

 

当ブログは新作画像をアップした際にアクセス数がグーンと上がりますが、人気取りや虚栄心からは疎遠でいたいですし、インスタ映えとか聞いても嫌悪感しか持ちません。私なりに気付いたものを共有できる場となればと思っています。それらの殆どが絵と直結しないのはやむを得ないと考えています。

2018年のベスト10

昨年作画総数180点の中から自選ベスト10を公開します。いつも思うのですが、自分で描いた割に描いた記憶そのものが薄くなったものに魅力を感じます。気負わずに描いた場合おおよそそうなります。何度見ても魅力を何処かに感じるものが、私にとっての佳作だと思います。

f:id:IshidayasunariART:20190111013245j:image

中庭のカフェ、蚊が飛んでそうだな〜と思いながら描いた事だけ覚えていますが、どうやって描いたか覚えていません。その分温度と湿度が表現出来ています。


f:id:IshidayasunariART:20190111013253j:image

ベオグラード路面電車。重い鉄の塊が緩い上り坂をカタツムリの様に登る様、初めて公開された映画リュミエール兄弟の「電車の到着」を思わせる移動の魅力が出ています。


f:id:IshidayasunariART:20190111013242j:image

ペン一本で日向と日陰、靴底を通した石畳みの肌触りが描けています。


f:id:IshidayasunariART:20190111013217j:image

画面が心象を超えて幾何学のリズムに転換されました。幸福感に包まれています。


f:id:IshidayasunariART:20190111013258j:image

いい加減(良い加減)さの魅力が出ました。はなから真面目にやる事を放棄したスピード感が良いです。


f:id:IshidayasunariART:20190111013225j:image

これ程二度と描けない画面はないです。破綻の割合が限界ギリギリまで行っている爽快感に満ちています。モチーフを飲み込んで描写ではなく定着しただけという粋さ。


f:id:IshidayasunariART:20190111013238j:image

儚さの中に夢遊病の様な景色が確かに存在しています。病んで伏せった病床でのみ見えるものを可視化。


f:id:IshidayasunariART:20190111013221j:image

スケッチの様でいて、パースが存在しないに等しいけれど街は本物の建物がひしめいていて、その中に暮らしの気配もあります。

 

f:id:IshidayasunariART:20190111142316j:image

この世とは思えない狂気の様な記憶の襞に潜った様が表出しました。


f:id:IshidayasunariART:20190111013234j:image

これは写生的で、一見淡白そうに見えますが、インパクトや強さがないのに決して弱くない確かさがあります。ベスト作品の中で一番アマチュア感がありながら、絶対に辿り着けない境地です。この永遠の空は描けません。

以上、自画自賛の批評家目線で自作を語りましたが、3日ぐらいで気が変わります(笑)