不登校支援の大津オルタナティブスクール トライアンフを運営する一般社団法人異才ネットワークのサイト用描き下ろしイラスト。
先日、完成したもののみをアップしました。
今日は一枚が出来るまでイメージを熟成して、推敲を重ねた仕事を段階的に開示したいと思います。
最初に職場で一気に描いたのがこの一枚です。
軽く鉛筆でラフを描き、油性マジックペン一本でイメージを詰めています。この時のイメージは太陽と月が両方あって(昼も夜もある)、灯台は何か居場所を求める人の目印として存在させました。
2枚目は灯台をトライアンフとして中心に持って来ました。大人も親も子供もスタッフも時間を共有する心地良さをそれぞれに込めました。
この時点では、新拠点が具体的に固まっていなかったので、全てを月並みな感じに落とし込んだのですが、自分ではこのままでは着手出来ないと思えました。
他に部分的に、活発さと憩いなど、活発(元気)至上主義にしないで、休むことも同じく大事。
他の人達と過ごす中で自分が一人でいても違和感なく居られて当然だという考えを出したかったのです。
庭にピザ釜が設置される事や新拠点にカフェが出来て、ウッドデッキが作られることになり、イメージにはそう言った現実感のあるものが登場し始めました。
現実感のあるものを思い切ってどんどんと入れていく事にしました。ギャラリーやアート事業、地域との共生、畑やビオトープ、うんていを渡る子供。
共同作業でカフェのテーブルにテーブルクロスをみんなで被せる絵を描くうちに、ぬいぐるみも生きた状態で登場しました。この辺はこどもアトリエ青Sundayでよく見る情景とも重なっています。
びわ湖を双眼鏡に写っている風に描いて間接的に表現を試み始めました。
目的はテーブルクロスを被せることから離れて、ふわっとしたクロスの下で喜ぶ子供に視線が行きました。
びわ湖を眺める空中テラスでのボーッとした至福の時間もどうしても入れたくなりました。
海外との交流や双眼鏡を調和させようとしたのですが、どうしても説明的になってしまうのが抵抗があり、全然納得行きません。
一旦、元に戻してみる事も考えつつ、構図よりも何を選択するかを描いてみて熟考する事に。この辺までに一カ月程度掛かっています。
3週間ほどイラストに関しては何もせずに、新拠点に係る作業や書類をスタッフとして一緒に推敲しました。
自分の中では、ようやく方向性が大体明確になって来て、湾曲して弧を描いた空間に共存する多様で選択肢に溢れた世界観が現れました。
シャボン玉に海外との交流を託す事で説明的な息苦しさを回避して、びわ湖に浜千鳥や日本の和柄の波を取り込みましたが、違和感があって全く馴染みません。
でも、新キャラのカタツムリさんが出て来たりと、屈託のない気に入った部分も多く、びわ湖をシンプルに描けば大丈夫だという実感が出ました。
そして下描きを全くしないで、いきなり今までの手の動きと頭に残った残像を手当たり次第に一晩で着彩し、完成形を描きました。
ゾウの親子が薪を割っているのは後で、どうしても描き足したくなったので、紙を継ぎ足して描いています。
この様に、まとめに入るよりはみ出す方がより大らかになって良いと思います。
最初の構想で大きな存在だった灯台は、画面の中央の開け放たれたドアのクマが担っている様に自分では感じます。
月並みな太陽は同じく、削除しても感じることが出来るので、そこが気に入っています。