アトリエ青 Atelier Blue

画家・アートディレクター 石田泰也の日々の活動風景をお届けしています

晩柑の思い

「万感の思い」と「晩柑の思い」は同じ意味のようですが、晩柑という言葉は知りませんでした。交流を続けているセルビアとは国交がどうのこうのとか、親善大使とか、海外交流の架け橋とか、そういった大仰な立ち位置ではなく、利害抜きの友人でいたいと、最近強く思うようになっています。

アートグループを作って作品を輸出入をした際に、一言ではとても言えない様々な弊害が立ち塞がりました。正直本当に輸出入がやり難い国です。その話をした人から「ヨーロッパの他の国とやり取りすれば良いのに。セルビアじゃなかったら駄目なんですか?」と訊かれた時、私はただ無言になったのですが、心の中で「セルビアに友人がいるからに決まってるだろ。。。」と呟いた事を思い出します。

皆んなお互いの利害を追求するあまりに経済や効率化に重きを置くのはわかりますが、私のしたい事の本質は全く違うと、その時よくわかりました。これはベオグラードを発つ前夜に、憤りをぶつけて晩柑の思いを込めて描いたアパルトマンの絵。

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ここには、「ベオグラードを離れたくない、日本に帰国したくない!」という悔しさが込められています。だから嬉しい絵ではないのですが、この様な激しいパッションの絵は他に描いた事がありません。

あれから5年が経とうとしていますが、今は日本にいるからこそ出来る事に目に向けるようにしています。国際水彩画交流展もそのようなもののひとつです。

今日は公募展MBD j14の締め切り日なので、全く同じアパルトマンを少し違うアングルで描く事にしました。たった25cm角の小さな絵は30分で描けました。出来上がったものを冷めた目で見ると、とても感情が落ち着いていて、出来損ないすれすれの様な絵です。

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間抜けな感じさえしますが、今の穏やかな自分を投影して、やや嬉しく描いているのがわかります。本当に絵は原理でしか描けないですね。数ヶ月ぶりか下手をすると一年くらい風景画を描いていなかったのですが、これを機にまたそれを繰り返すと思います。