アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

勇気くじき

家庭や教育現場、職場で未だに絶える事がない躾・指導という名のもとに横行しているのは何かお分かりでしょうか?

誰もが良かれと思ったり、こうするしかないと思って間違った方法を用いています。その話をする前に私の実体験をお話ししたいと思います。

私は幼稚園や小学校の時から発達障害の一種、ADHD(多動性障害・注意欠陥症候群)でした。ADHDとは、一気に色々な情報を持って来られても受け止められない為、必ず何かを意識からこぼす様に忘れたりしてしまいます。

誰でもそうじゃないの?と思われるでしょうが、3つ指示を聞くと最初のを忘れてたり、下手をすると一つだけしか頭に入らないくらい酷いのです。

 

情報処理が出来ないのではなく、一つづつしか取りかかれない感じです。結果周りから鈍臭く思われます。

また目先の関心や発想がころころ変化します。この為、優柔不断に思われる場合があります。実際には、脳裏にアイデアが突如閃めく為、より良いものが見つかっているだけですが、まわりとの時間差が生じてしまい、あとの祭りになるのです。

大人になるにつれて、ひたすらメモを取ったり写真も撮って自分専用のマニュアルを作成する事で、迷惑を掛けないように心掛けるようになりましたが、幼稚園や小学校で先生からは「この子は頭の回転が悪いから、他の子に比べて行動が一拍遅いのでイライラする」と思われていました。

幼稚園では腫れ物に触るように対応され、小学校では「スロービデオ」というあだ名を担任に付けられる始末。

しかもご丁寧にこのあだ名は担任が変わっても引き継がれて一年生から四年生まで続きました。黒板を前に何かの問題を解く場合に、もじもじしていると「ほらまたスロービデオが始まった!」と担任が率先して馬鹿にする訳ですから、余計に焦るし、極度のあがり症になりました。

劣等感から対人恐怖症にもなり、自閉傾向にもなりました。

 

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昭和40年代の頃は、教育現場でさえ発達障害に対しての理解もなく、全般的に私の様なタイプの子はみんな適切な対応に欠ける行為に苦しまされたのだと思います。

自分がADHDだと知ったのは50歳を過ぎて、青少年福祉施設で自立支援員の研修を受けている時でした。芸術家には非常に多いらしく、スピルバーグ監督やアインシュタインADHDだからこそ、閃きや独自の世界を突き詰める能力があると知りました。

それに職場の先輩に「石田さんは典型的なADHDですよ。素晴らしい才能ですね!」と言われてスッと腑に落ちました。

「そうか、裏返せば才能なのか」と意識がガラリと変わりました。

 

話が遠回りしましたが、家庭や教育現場、職場で横行している間違った言葉掛けに話を戻します。

私が幼稚園児の時に言われた「石田君出来るかな?無理だったらやらなくて良いよ。」小学生時の「またスロービデオが始まった。」という声掛けは勇気くじきに該当します。

心理学者アルフレッド・アドラーが名付けた「勇気くじき」について、ネットからわかりやすい説明を下記にピックアップしました。

 

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「相手の失敗や未熟さに対して「違う、違う!」と間違いを指摘したり、「私がやるから、もういいよ!」と取り上げることは、勇気くじきの代表的な方法です。

実際に相手のやっていることが未熟で間違っていたとしても、それを指摘した瞬間にそれは勇気くじきになってしまいます。指摘により、相手は自らの無能さと劣等性を思い知らされるからです。

そして、問題を指摘した本人は、知らず知らずのうちに自分が優れた存在であることを相手に見せつけ、優越感を感じます。その結果、相手は勇気、すなわち困難を克服する活力を失ってしまうのです。
 相手ができないのは、現段階ではまだ能力が不足しているからです。しかし、能力不足と相手の価値とは何の関係もありません。できないからといって、あたかも相手が自らの価値を否定されたと感じるような言葉を使うことは避けなければなりません。

また、能力不足もあくまでも現段階のものであり、将来できるようになる可能性は十分にあります。しかし、相手の勇気をくじくことは、相手がその可能性にチャレンジしようとする活力に冷や水を浴びせることに等しいのです。
 私たちはついつい意識しないままに勇気くじきをしてしまいがちです。しかし、勇気づける前に、まず勇気くじきをなくすことが重要です。それが勇気づけになるのです。」

 勇気くじきの言葉を言われた方は相手に対して苦手意識を持ちます。表情では何ともないように見えても、本心では強烈な落ち込みと、やる気の低下をもたらしてしまうものです。

また、困難を乗り越えようとする勇気も奪ってしまいます。これらのことを人を管理する立場の人たちは相手の為だとか言って、平気でやっているわけです。

勇気をくじいた側は正しいことを言っているようで優位に立てているように見えます。でも実際アドラーが考えるのは「勇気をくじく人は弱い人間がすることだ!」と言っています。

どういうことかというと、勇気くじきをする人は原因は自分ではなく相手にあるとして責任逃れをしていると解釈できるからです。
つまり、めちゃくちゃ悪い言い方をすると「勇気くじきをする人は自分で困難を乗り越えられない、乗り越えようともしない情弱人間だ」ということです。

なので、たとえあなたが上の立場の人に勇気をくじかれていたとしても、そう考えていれば物事を冷静な考えで判断することができるはずです。

ときどき、長時間叱りつける勇気くじきをしている人がいますね。人間の怒りは、怒れば怒るほど増幅し、感情的になっていくわけです。これを心理学では怒りのエスカレーションと言います。

そんな自分を抑えられない感情的な人間に正当な教育などできるはずがありません。

叱るのであれば、時間は短いのがベストです。しかし、少なくとも「相手を否定する暇があったら、今後どうすべきかを一緒に考えていくべき」です。

「なんでこうなったの?」「こうしちゃいけなかったの分かるよね?」

このことをアドラー心理学では「なぜ問い」といいます。実はこれも勇気くじきの一つです。このようにアドラーさんは過去の原因を探る原因論を強く否定しており、相手にマイナス影響しか与えないと指摘しています。

ではなぜ過去を探ることは相手にとってマイナス影響なのでしょうか?理由は簡単です。

何か失敗して過去を振り返ったとしても、目的に立ち向かう勇気は生まれないからです。

どんなに後悔していて、変えられない過去のことを思ってもどうしようもできないというわけです。

また、勇気くじきに関してよくあるパターンが「自分をなぜ問い」することです。失敗について、責任は自分にあるとして「どうしてこうなった?」と自分を責めます。これは自分の勇気をくじいていると言えます。

他者に対しても自分に対しても勇気くじきをしないようにしましょう。誰も得しません。

 ※以上ネットからの抜粋でした。

 

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非常に分かり易い解説です。これらは親が子を思って対処する際、子供が独立されていたり、元からいらっしゃらない方で自分自身と向き合う時間が多い方の自問自答の際に、大きな助けになると思います。

勇気くじきかも?と気付かれた際に、思考を切り替える工夫としては「提案」があります。

提案と言ってもあまりな無理難題では余計悪循環になりますので、「どういう方法で回避しようかな?」「今からとれる他の方法には、何があるかな?」など、複数用意するのが良いです。

子供がその中から主体性を持って選ぶ事が出来れば「自分で決めた」と自覚します。大人の方が自問自答した場合も一つしか道がないと思わないでいる事で大いに気が楽になります。

どうか試して下さい。

今日「勇気くじき」について触れたのには理由がありまして、こどもアトリエ青ワークショップ 中に、あまりにも勇気くじきが目に付くからです。

子供なりの考えやこだわりは小さくても結構しっかりあります。でも「何がしたいの?」「ここはどうするの?」と声を掛ける親御さんが非常に多いです。

それは勇気くじきだと気付いて下さい。この声掛けによって、子供は段々とやる気が失せます。そこに重ねて「せっかく来たのにしないの?」「ママがやるよ!」という追い討ちを掛けると、もうアウトです。

これについてはワークショップ前に私が注意事項としてお伝えするのが適切なのか、判断が難しい場合があります。

私自身の課題として、先ずは複数の提案を思い浮かべるところから始めたいと思います。

ワークショップに関わらず、家庭内での些細なやり取りでも勇気くじきは良くないと言うことは、おわかり頂けたかと思います。

子供の主体性や自発性をいかに上手く誘導するかについて、私なりの職務経験から体得した話は出来てたとしても、それをブログでとてもお伝えし切れません。ここから先はその子の個性や兄弟姉妹の関係性など生育環境により、ケースバイケースとなるからです。

 

 こどもアトリエ青Sunday で「童謡リトミック」「親子でストレッチヨガ」講座を担当しているホリユキエ先生は、アドラー心理学を学び、キッズコーチングアドバイザー一級資格を取得されています。

5月以降は、子育てのお悩み相談を兼ねた「ママ・パパの子育て講座」にて、楽しく歓談しながらのワークショップを展開しますので、よろしくお願い申し上げます。


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