アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

取り除く

子どもの絵の教室を運営する方、講師をする方は、幼児から小学低学年までは、一緒に同じネタや課題に取り組めるけれど、小学6年生頃から中学生以上になるとそう簡単ではないと異口同音に呟きます。

そこには、絵の専門教育路線にシフトするか、ただ好きで続けて行くのかにより、指導方法が大いに変わるという背景が見えます。

私は2014年に某「子どもアート教室」に講師として一年半ほど関わりました。しかし水が合わないので、私の志しを更に貫く意味で自身で2015年にこどもアトリエ青を立ち上げました。

当時は私も例に漏れず、似たような思いを抱いていましたが、それと同時になんとなく専門画家を育成するのと好きで描くのを分ける事には抵抗を感じていました。


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「何故抵抗感を持つのだろう。。。?」この疑念を大いなる課題として、頭の隅に置きながらこどもアトリエ青のワークショップをして来ました。

それから10年近く経過して、3歳頃から小学生を中心に日本とセルビアを合わせて何百人もの子ども達との時間を過ごして来て、なんとなく腑に落ちたのは、絵が好きや得意な子が専門教育を受けなければならない事はないし、受けたら良いとは限らない。

 


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そんな事よりも優先すべきは、描いている時間が無性に好きであったり、それによって抑圧的な子ども社会にいて、気持ちが発散できて、自分を保つ(自分らしくいる)ことに繋げる事です。

そもそも、6年生や中学生になると、幼児のいる教室に来ること自体に抵抗を感じるものです。これは思春期であれば当然でしょう。

これは自分を第三者の目で客観的に見ることから羞恥心(コンプレックスなども含む)や、他者に自分がどの様に見られているのかという自意識が発達するので当然のことです。

だからと言って、自分が描く絵にも自意識が反映されて、「これで良いのだろうか?」「失敗していないか?」「人に比べて見劣りしないだろうか?」など余計な考えは、取り除けるに越した事はありません。

学校では、それに重ねて模範回答の様な絵を啓蒙させてしまう傾向が強いので、取り除くどころか拍車を掛ける傾向があり、挙句の果てに苦手意識に苛まれる子どもを量産します。(学校が必ずしも全部そういう指導をしている訳ではありません。)

絵の専門家にならないのであれば、主要科目(受験に必要な)に時間を費やして、無駄な時間をカットした方が合理的だと親も考え始めるので、折角絵で発散できていた子が描かなったり、逆に専門教育を押し付けて絵が楽しくなくなり描かなくなります。

何か別のこと(芸術やスポーツ)に移行したのなら全く問題はありませんが、絵が向いていた子供にとってはなんともったいない事でしょう。

 


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私は画家になっても、生を謳歌する様に絵を描いている子どもでいる事がとても大事だと思いました。それは子どもとの時間を過ごすことで気付きました。

絵を描いた後のご飯が美味しい時は、生きる力になった証しです。画家であってもこれが仕事が上手くいったか否かの基準です。

それを念頭に添えて、【6年生以上、中学生になるとそう簡単ではない】を本質的に理解するには、個人差・資質に応じた関わり方に配慮すると同時に、成長の早い子が陥りがちな不要な自意識を取り除いてあげることにもアプローチしていくのが適切かと思います。

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指導者はやる気を起こさせる存在であり、いないよりいた方が頼りになる程度が一番良いと思っています。

 

脅威的な存在にならなければ、教わる方も自分でしたい事の造詣探求を黙々と出来るでしょう。美味しいご飯を食べて欲しいです❣️

だからと言ってマンツーマンがベストとは限りません。数人程度のコミュニティーに属する方が望ましいと思います。

 

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昨年から大津オルタナティブスクールトライアンフで中学生に接する機会を得ましたが、こどもアトリエ青ではそういう機会が巡って来なかったので、私としては大いなる人生の転機になったと感謝しています。

 

アトリエトライアンフは描きたいだけ描いて、休憩したり他の子と遊んだり、また描いたり。気ままに自由に過ごして欲しいと思います。

 


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もし、何か知識を伝授して欲しいと思ったり、私が見ていてその必要性を感じた場合だけ、無数の抽斗(ひきだし)から適したものを瞬時に取り出して提供します。

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土曜日曜にもこういった時間が作れて、参加する間口を高校生にも拡げて行くビジョンを持っています。実現に向けてまだまだ尽力します❗️

 

最後にもう一言☝️

絵の専門教育を受けたり、その方面に進学をした方が良いのは、具体的な専門職が既に決まっている方や、指導者(教職)になりたいと思われる方かと思います。焦らず描き続ける術を身に付けていって下さい。