アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

コラージュ風に人物を描く

昨日に引き続き松田優作の伝説的な作品となった「野獣死すべし」とそのキャストにオマージュを捧げる一枚を描きました。これが映画デビューとなった優作の後輩 鹿賀丈史の好演が光る一作でした。また当時アンニュイでどこか不健康な感じが逆に独自の存在感を醸した歌手の小林麻美が悲劇のヒロインを演じて、忘れられない印象的なシーンを刻みました。そしてキャリアの熟練した室田日出男です。ちょうど今の私の年齢くらいの時の出演ですが、蛇の様に優作を追い詰める刑事を熱演していました。しかし、そのどれも吹っ飛ばす優作の存在感は圧倒的でした。今まで人気を誇っていた鳴海昌平のハードボイルドキャラから一転、狂気を孕み病んだ人間 伊達邦彦を独自のアプローチで生き切りました。

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奥歯を2本抜いて激やせして役作りし、亡霊の様な男を演じましたが、制作の角川春樹は激昂したそうです。身長も小柄でひ弱な人間像にするために脚を10センチカットしようとして医者から止められた逸話など有名です😅

ここに描いたキャラの内、かろうじて生き残るのが一人だけという展開ですが、今となっては、画期的なアプローチで臨んだ奇特な作品として再評価に値します!  

私は汗のテカリ具合でそれぞれの人間性を出せたらという思いで挑戦しました。こういう落描きはひたすら画力の維持を目的に取り組んでおり、イラストレーションに属しますが、売りに出す事は全く考えていません。

水彩遊戯

映画「遊戯シリーズ」をご存知でしょうか? 松田優作が殺し屋 鳴海昌平を演じて人気爆発した3本の連作です。「最も危険な遊戯」「殺人遊戯」「処刑遊戯」のセットblurayを買ったので、今までで一番最良の画質で愉しめます! 中で大傑作となった一作目「最も危険な遊戯」の優作を衝動的に描きたくなりました。逆光でマグナムを構える堂々とした姿!カメラがハレーションを起こして優作の胴体がオレンジ色に発光した一コマです。遊戯=ゲームという事らしいので、水彩遊戯と洒落込んだ次第です。

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続いて廃墟ビル屋上にて身を潜め、スッと立ち上がる直前の優作。手足が長くまるでオニヤンマの様に見えたので、少し誇張しました。静の姿に動を感じる瞬発力の様な気配と殺気を出しました。

こちらは日陰のトーンを暗調にしながらも決して黒くならない様に細心の注意を図りました。紙残しによる白だけに頼るとコントラストが出ない為、全体に白のアクリル絵具で白を再現しました。透明水彩の良いところと、アクリルによるコテっとした味の良いところどりです。

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今日の2枚のテイストは、尊敬するアメリカのイラストレーター、バーニー・フュークスをリスペクトして描きました。バーニーには遠く及ばない私ですが、彼は基本的に油絵かアクリルで独自の技法を駆使して光や空気を表現します。それは結構、透明水彩とも相性が良いのです。