アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

色温度

読者の方にイラスト関係の方が多いですが、皆さんは絵を描く時のライティングをどうされていますか? デジタルで描かれる方はブラウザの色温度設定次第で相当変化するでしょうが、私のようなアナログ派の場合の理想は、薄曇りの北窓の自然光が最適です。 とは言ってもそうは理想的な環境で描けません。よって照明器具に頼る訳ですが、どれが望ましいのでしょう。LEDになって色温度の調節ができるライトが増えてきましたが、太陽の光は白なのでランプ色や蛍光色のブルーが勝ったものは不自然です。これらは大きく画面に影響を与えます。

下の絵は公開制作時のオレンジ掛かった照明の下で描きました。その時は紙の白が既にナチュラル(クリーム掛かった薄い黄色)に見えるので、白の表現の勘が狂います。

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じゅうぶん画面は黄色いつもりでしたが、アトリエに持って帰って白昼色のライティングで撮影し直したら漂白された様な色合いに変化しました。私のアトリエは北窓の曇天の日中に近いライティングを作っています。

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全く私の感情が抜けてしまい、抜け殻に見えます。この様にライティングに大きく左右されるので、絵を描く場合は神経を使った方が良いですね。

美術館では画面保護の目的でライティングを異常に暗くしている施設が多いですが、本来の画家が狙った色とは大きくかけ離れてしまっている事にも理解を及ばせて脳内で色彩を立て直して鑑賞する必要があります。そういう意味において原画の鑑賞は本質的に相当難しく、原画を見た気になってしまうという危険があります。美術ファンはそれで良いかもしれませんが、画家は絶対にそれでは駄目です。

かといって脳内で編集するのも容易い事ではありません。ただ、真実の色はどうあるのかを想像するくらいはして行きたいものです。