アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

アートより凄い日

今日も絵を描く予定でしたが、児童指導員兼アートディレクターとして働いている青年男女の自立援助ホームの仕事場で貴重な時間が訪れたので、描くのを止めました。

自立援助ホームというのは、世間では児童養護施設や里親と何が違うのか理解されていません。

実際に私が2年前に当職に就いた際に初めて理解したのですが、端的にいうと入居対象となる15歳以上二十歳未満の家庭を追われたり、18歳で養護施設を卒業しても、一社会人として自立が困難な青年男女の居場所です。作業所とも違います。そしてここを二十歳になって出てからもずっと寄り添う仕事です。

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これほどコミュニケーションが困難な青年はいないと思える利用者と空気。時には世の中のシビアなルールを突き付けて、なお挫折などの失敗を容認して寄り添う。精神労働だと言われてます。

子供にキレられたり、騙される事も日常茶飯事ですが、全て自己責任で社会でそれをすると過酷なしっぺ返しが来るのを静観せねばなりません。教え込むのでなく気付きを待つのです。

大人の欺瞞や自己都合、上っ面で接したら全てお見通し、貝のように心を閉ざします。

そんな日々の中、今日はたまたま複数の青年が同じタイミングでアルバイトの面接をクリアしたり、訓練校に合格しました。

みんなで合格おめでとうのケーキを食べました。それもみんなほぼ無言です。自然体で安心していることが出来る雰囲気が、私も含めて心地よく、みんな恥ずかしいけど互いを労って静かでも意義のある時間を過ごしました。社交辞令や場つなぎ的に出て来るセリフは無駄で空回りするだけなんです。

こういう時間は唐突に巡り合わせでやって来るので、直感的に絵を描いているより、ほっぽらかして五感を研ぎ澄まして、ただただ時間を共有しました。

私にとって胸騒ぎと静寂が交錯する今日の様な時間は、これまでの人生で初めてでした。こういう時はアートをやってる場合でありません。

なので作品画像を楽しみにしていらした読者さんには勝手ですが、今日は本当に貴重な時間に居合わせられたことに、ただただ感謝する日となりました。

勉強させて頂きましてありがとうございました。この仕事は自分のアートに深みとして現れます。