アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

レシピ

レシピといえば、先ず思い浮かぶのは料理のそれでしょうね。

水彩画教室をしていると私の作画技法や工程を開示して欲しいというリクエストがあるように、絵にも確かにレシピは存在します。

レシピは翻訳すると秘訣・秘伝となります。私のはいくらでもレクチャーしますが、大前提としてパレットにチューブの絵の具を全色(8〜9色)出して、筆洗には最低でも3つに分けて水を入れなければなりません。


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    ※この様なトリオ筆洗は重ねるとコンパクトになります。

最初に必ずその理由と必然性を説明しますが、何故か9割の方がこれを守りません。これを手抜きと言います。

例えば料理でも予め素材や調味料を必要分用意する工程で、既に料理は始まっています。それと同じです。いわばこれこそが省けない基本レシピ(秘訣)に当たります。

料理をしていて、火を入れながら「塩は何処だったかな?」「何グラムだったかな?まあ適当でいいや。」こういったことは日常茶飯事ですし、煮詰まってしまったり、焦げたりします。私も人に出すものでない作品でなければ思いっきり手抜きします。

でも、習っているのならしっかりと守った方が身に付きます。基本レシピが何にでもあるので、それを守ってからでないと技術云々は空回りします。つまり手抜きをした上で、レシピを尋ねるのが良くない事をこれでわかって頂けたでしょうか。

私は作品に着手する場合にはトリオ筆洗を2個常備して描きます。つまり水が6つに仕切られている訳です。これにより濁った水が極力なく、透明な水を維持しやすくなるのです。透明な水は透明水彩にとり必要不可欠です。

途中で換えたら済む事だと考える方は、その所要時間により作画に不利に働く事を自覚しなさ過ぎです。

パレットも18色パレットには同じ色を2箇所に分けて入れ、梅皿パレットと紙パレットも同時並行で使います。


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梅皿パレットは混色した色を一定量確保するのに適しており、イラストではよく使います。紙パレットは元来、油彩画用に使い捨て出来る利便性で需要が見込まれていますが、実は普通のパレットだけでは面積が狭いので、透明水彩でも重宝します。

水道がないかも知れないところに写生に赴く場合はこれプラス、ペットボトル数本に水を入れて持参する。筆洗の水を流せる環境にない場合は、ペットボトルに戻して持ち帰る。

ここで手抜きをしたら描けるものも描けません。そういう意味も含めて写生は体力が必要なので、負担な方は鉛筆だけでされたら良いでしょう。

固形絵の具を愛用されている方を批判する気はなく、今日の話はあくまで私の描き方を踏襲したいと思われる方への話でした。