アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

セルビア人の理念

このところ、ウクライナ情勢の影響で、世界的に物価高が止まらなくなっており、生活を圧迫しています。

しかし、これは本質的な問題ではないと見ます。実のところ戦争ほど国が儲かる話はないのです。経済的に国が富むだけであって、国民に還元されないのが、本当の問題なのですが、目眩しにあっているだけの事。

仕入れ価格高騰に見せかけた便乗値上げも多々あります。お菓子類などは価格据え置きで量が少しづつ減っていますよね。「気のせいかな〜?」って思う絶妙な減らし加減です。

利益を得るためには仕方ない話でしょう。しかし、これは日本の器用さが働いています。日本は国際的に見て本当に精密で器用だという評価を得ていますが、そういった小細工も上手いのは日本人として恥ずかしくなります。


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逆にセルビアは消費者を満足させる事を理念に掲る国民性が根付いています。そうでないものは淘汰されるのかも知れません。

写真では分かりませんが、ケーキや菓子の一個の大きさが日本の3倍くらいあります。タルトも直径が30cm以上あるので、自ずとワンピースがでっかいわけです。

右は朝に入ったカフェでカプチーノっぽい何かを頼むと、店員がベリーか何かのジュースを勧めて来たので、最初断りました。観光客相手にここぞとばかり押し売りしていると思い込んでしまったのです。

インドなどには、こういう日本人をカモにする輩がワンサカ近寄って来ますので、反射的に構えてしまったのです。(これはインド全般がそうだというのでなく、一部の商売人が押し売りをしてくるだけであり、真っ当な商いをしている方が大半を占めているので、誤解のない様にお願いします。)

でも話をよくよく聞けば、朝はコーヒーだけでなく身体に良いフレッシュジュースを付けているとの事。それはおまけなのでした。もちろん喜んで頂いたら、甘くなく自然の味で、コーヒーとの相性も良く、全てがフルーティーに感じて意外でした。

ちなみに普通に温かいエスプレッソやホットコーヒーはありますが、カプチーノっぽいのは、40度くらいの緩い温度で提供され、ストローで飲むことになっているのもカルチャーショックで面白かったですね。

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街中でも大きな公園が所々にあります。樹木は30m以上の高さのも多く、林と公園の中間くらいの感じで大らかな気分になります。

朝市のドライフルーツには、ハエがたかってるのかと、一瞬引きましたが、よく見たら蜜蜂でした。それだけ自然の素材で出来ているという証明です。

値札に1,000とかあるのは、セルビアの貨幣ディナールでの表示です。これは1キロで1,000ディナールという事です。大体換算して1,000円なので凄く安いですね。

日本では100gでの値札をつけて200g買ったりしますが、この感覚がセルビア人には細かすぎて異様に思えるそうです。「何故キロで売らないんだろう?」と友人は言っていました。ちなみに肉もキロ売りが普通です。


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売店でパックのブルーベリーヨーグルトを買って飲んだら、ブルーベリーの実がゴロゴロと口に入って来てびっくりしました。日本のは、薄い紫色に着色して香料で香りを付けてあるだけで、ブルーベリーなんて申し訳程度にしか入っていませんが、全く違います。

「これが本来のブルーベリーヨーグルトだなぁー。」と我に帰る感じです。ここでも「満足しましたか〜?」というメーカーの声が聴こえて来ました。利益は大事ですが、喜んで満足してもらわないと販売する意味がないという感じがそこここで感じられるのが、とても嬉しいのでした。

セルビアの食堂やレストランでは、皿に料理を食べ散らかして一口残すのがマナーで、それが店に対して「お腹一杯になって満足した。」というサインになるそう。実際に物凄い量が出てくるので食べ切れません。

フードロスの観点では問題視されるかも知れませんが、日本は綺麗に残さず食べるのがマナーなので、全く逆です。食べ切ったら「物足りない。」というサインになってしまい、「何かご不満でしょうか?」と店員が尋ねて来ます。

話は脱線しますが、ワークショップをした時にも休憩時間にタンゴを踊ったり、遠足でもないのに持参のお菓子を食べて糖質を摂取します。


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「日本では遠足の時にしかお菓子を持って行けないよ。」と言ったら、子供は「信じられない!」と驚いていました。毎日午後はおやつタイムがあるのです。

集中とリラックスのバランスが素敵に思えました。

作業効率や生産性を高めてそれに順応するのが仕事であり、過集中もやむを得ないと割り切っている日本。それが出来ないと脱落者とみなされ強迫観念で打ち込んで過労になる。それに慣れすぎては拙いと思います。

家族との時間も自分の人生も犠牲にして一体何処に向かうのでしょう? 豊かさの価値観の大きな違いを突き付けられて、セルビアから学ぶことが大きかったのです。「我思う故に我あり」は私利私欲に走りそうですが、「人思う故に我あり」大事にしたい理念です。

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