アトリエ青 Atelier Blue

画家・アートディレクター 石田泰也の日々の活動風景をお届けしています

正確に間違う

今日はオリジナル絵本「星つりじいさん」の作画15枚目を上げました。当初、30枚で全体の構成を考えていましたが、色々とシーンが増えて、物語りに膨らみが出て来ました。

その為に「36枚は必要になるかな?」と思い直して、鋭意制作は続きます。今日描いた一枚は自分でもなかなか興味深い絵になりましたので、特別にご覧に入れたいと思います。

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雨が降る橋の情景ですが、私のイラストのテイストと風景画が融合し、それぞれの特徴が調和しました。調和というのは和音の様に響き合う魅力が出る場合を指します。

絵本などイラストの場合は、写真や何かを見て描き写すという事はしません。ほぼイメージ、インスピレーションに従って描きます。

当然今までに見た物や描いた物などがベースとなって心象風景としてイメージが降りて来るものをそのまま描きますので、その意味では何かに影響されてはいます。ただ、完全に自分のものにしてから描かないと成功しません。

だからどうしても中途半端になる事が多く、そうするとイラストと風景画の不協和音が発生します。それ程、調和させるのは難しいのです。

具体的に一言で説明するのは難しいのですが、私の場合はイラストを描く時に、必ず遠近感・パースペクティブをわざと崩します。この崩し方が風景画に比べてかなり極端です。

この橋も手前(画面向かって右)が通常は広くなるのですが、ほぼ同じにしています。そうすると錯覚で微妙に狭くなって行く様に感じます。橋下のアーチも同じく右に行く程大きくなる筈が、逆に小さい。

他に建物と橋の関係性も遠近法に則った正確な線は一切なく、間違って見える様に組んでいます。この間違い方を一つ間違うと、台無しになるのです。

「間違い方を間違う」というのは奇妙な言い回しですね。でも、ここが一番楽しいところであり、醍醐味です。

そして、この様な表現がもたらす効果は、常識に縛られない緩さ、抜け感、夢幻性、独特の世界観に繋がります。今日は上手く間違える事が出来ました。

でも、実は毎日描いていて、この様に納得の行く調和はなかなか得られないのです。それくらい正確に間違うのは難しいですね。

他に変わったところでは、雨の空の表現技法が挙げられます。一旦、滲ませた状態にし、濡れている間に紙を当てて少しスライドさせてから紙を剥がしています。柄やスジが入りいい味が出ます。

風景画では出来ない遊びですが、今日のにはテイストが合いました。

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原画展では、本作も展示したいと思いますので、是非実際に確かめてみて下さい。