アトリエ青 Atelier Blue

画家・アートディレクター 石田泰也の日々の活動風景をお届けしています

公開講評③

各受講生の作品をブログで講評するのは初めてですが、今回はチラシに出展者を明記しましたので、一人づつコメントをして行く公開講評その③です。

今日は市川和代さん(ペンネーム)の画面左から「大ちゃん」「家族風呂」「つつじ」の3作です。数ヶ月前に亡くなった愛猫の大ちゃん。その喪失感は未だ癒えることなく続いているそうです。遺影を絵にする事で弔いの気持ち、大ちゃんへの愛の深さを投射した作品。それは猫の肖像画に見えますし、市川さんにとって大事な家族の一員だったという想いが溢れており、私を惹きつけます。この絵は自宅で描き上げられた状態で見せて頂きましたが、アカデミックな美術が万能ではない事を証明した点でも清々しい作品です。

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お風呂に入った猫の親子は、他の画家のイラストを参考に貼り絵で仕上げられました。他者の作品を絵にするのは模写など研究目的でない限りは認めたくはないのですが、オリジナルの着彩による紙を切って貼り絵で仕上げたとなると、スッカリ別物になっていますし、思わず「良いですね」と認めてしまいました。木の桶に掛けたタオルはティッシュを折り畳んで質感を出したとの事。自由気ままな発想が楽しい雰囲気を更に醸し出しています。

画面いっぱいのつつじも、理屈を超えて画面から花びらがこぼれ落ちそうで良いですね。市川さんの内面は、きっとこれを描きながらつつじで溢れ返った事でしょう。それが可視化された迫力で迫ります。優しくてユニークな世界を堪能させて頂きました。

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