アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

回想

年を越してから、ようやく2連休になったので、一泊で実家に帰省しました。正月というのは、個人的には全く関心がなく、目的は一人で暮らす母親との時間を過ごす事のみでした。時間は無限ではないので使い方を吟味しなければと、最近ではよく思います。

一人で絵を描く時間は極力少なくして、自分以外の人と描いたり、絵に関わらず他者との時間を共有したい。そういう時間の使い方(過程)は、絵(作品)そのものよりも各段に意義があると思っています。

という事で新しい絵のアップでなく、3年くらい前に描いた好きな一枚を持ち出して来ました。小さな村トポラの季節労働の落ち葉の清掃員達。これは本当に心にしみる光景だったのです。落ち葉は、まるで幸福を掻き集めている様に見えたからです。落ち葉がこの3人の時間をくれている感じですね。

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次に普通の写真ですが、チュミチ村のミラーさんの森の中の家を訪問した日。2017年の秋です。大学教授として高齢の彼女は、毎日片道90分掛けて自分で車を運転し、ベオグラードまで通勤していると聞いて驚きました。

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本来世界の建築文化史研究がライフワークなので、世界中を飛び回ってもいるので、距離の感覚が私などとはかけ離れているのだと思います。90分は近所なのかも!?

この時の体験がこんな絵を描かせもらえる一因になったのかも知れません。

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これは一ヶ月のセルビア滞在の帰国前夜に凄まじいパッションが爆裂した絵。明朝4時に起きて帰国の途に着かねばならないのが理不尽に思えて仕方なく、夜に部屋の荷物を片付ける途中で衝動的に描き殴りました。

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先の落ち葉の清掃員の絵の穏やかさとは違って、とても異質な狂気が定着しているのですが、自分ではこの絵も好きです。3枚の絵に共通しているのはやはり「原理」。つまりは体験に心震える様ありきで絵になったという感覚です!

これらは一見テーマがバラバラに見えます。それぞれ過去の記事で眼にされている読者の方はいらっしゃるでしょう。改めて並べると、どれも等しく自分にとっての作品であり、同じ幹から縦横無尽に伸びた枝葉に実ったものです😃 

私は樹齢55年のであり、地面の下にも上と同じく根を張っているので、そこにも実がなるのではと思うとワクワクするのです。それを掘り出して観察し発見したものが作品として可視化されるだけであり、一番肝心なのは本体であるなのです。

樹齢55年というと、まだまだ青い若木です。大木でもなんでもない。母と時間を過ごして、そんなことを思ったのでした。そう考えると歳を重ねるのがとても楽しみになって来ます。