アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

記憶すべきは名前

「マジックの集い」が盛況のうちに終了しました。

当初、私は「絵画とマジック」というコーナーでのトークショーをする役で出演させて頂く予定でしたが、そこは毎日のようにコロコロと考えが変化するシ・オ・ミ 師匠 のこと。

ある意味、天才的な発想により、師匠の駄洒落にツッコミしたりと全く絵画を語ることなく終わりました。

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客筋から絵画を語っても成立しないという師匠の読みがあっての事ですから、すんなりと受け容れるだけです。

絵画もですが、マジックも畏れることを知らないマニアの方が非常に多いのが実情です。

畏れ(おそれ)についてはここで詳しく語っていますので、再読ください。https://yasunariart.hatenablog.com/entry/2020/02/19/001236

 


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思う存分に会場を沸かせながらも「大事なのは、誰が何を考案したのかを記憶することです。」という渾身の表現で、その事を切に祈るように会場に問題提起として投げかけられた師匠にしびれました。

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賛美されるべき名前がホワイトボードに3名記載されていました。また海外のマジシャンの動画も上映しました。


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言ってみれば、2時間に及ぶシ・オ・ミ 師匠 の授業なのですが、それをエンターテイメントにする腕が凄いの一言❗️

 

安易なパクリで悦にいったり、自己陶酔している場合ではない。

畏れて、その名を記憶に刻んだら、今度はそれを踏まえて、時間を掛けて練習し、徐々に自分のアレンジや捻りも加える。その過程の努力を惜しまない姿勢を貫く。

つまり「オリジナルとは情熱です。」という名言も拾いました。ビシビシとハートに突き刺さって、なんと大いなる勉強をさせて頂ける日になった事か。


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弟子も普段着でアクトをする。

およそらしくない雰囲気が返ってマジック本来の味だけで勝負しなければならない空気に追い込む効果があり、師匠はそこまで計算されていたと思われます。

絵で例えると額縁を外した感じです。私の絵もマグネットで無造作にホワイトボードに貼ってあるのが、非常に好ましく感じました。


この5,000円払っても当たり前の授業が無料だというのが、またまた驚きです。

入り切らない人で溢れたのは、無料だからでしょう。でも、それによって叱ることも出来るというのが師匠の本当の目的だと見ました。お金を取ると叱れないですから。

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私など遠く及ばない師匠の粋な計らいに、自分の青さを感じて嬉しくて仕方ないのです。

締め切り前日

明日のシ・オ・ミ師匠 企画の「マジックの集い」で使う為にご依頼を頂いていた故石田天海(いしだてんかい)師匠肖像画

天海スマイルと言われる笑顔でステージに出る事で知られたマジシャンです。マジシャンはクールに表情をあまり出さずに演じるものとされていた当時の風潮を変えた方だとの事。

毎回のことながらギリギリまで描かないで来ましたが、流石に明日本番となり、やっとスイッチが入りました。

肖像画は5ヶ月振りくらいに描きましたが、楽しく描けました。

 

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明暗がはっきりした白黒写真を元に色彩は私の思うままに彩色しました。

昔の、恐らくダブルのスーツの生地感を出したくて、黒のクレヨンを下地に敷きました。実際はこんな荒いツイードの生地ではないのですが、顔がテカっているので、質感の違いを出したくてそうしました。

バックも顔の明暗に合わせて明度を左右で変えています。耳たぶは影の方はシルエットにしました。

頭髪や口ひげに予めマスキングを少し仕掛けて光の当たったニュアンスを出してみました。眼鏡のハイライトにもマスキングを使っています。

白絵の具は使わないつもりで作画しましたが、最終的に鼻やあごのテカりを出すのと歯に使用しました。

あくまで紙残しに見えるように配慮はしましたが、そういう事は自分の中でのこだわりに過ぎないので、結果良ければ何でもありです。