アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

画家の条件

私にとっての画家の定義というものがあります。趣味で絵を描くのではなく、画家を名乗る場合の決定的な違いを一言で言うと「絵を(描く事を)畏れるかどうか」となります。「畏れる」とは「おそれる」と読みますが、日常的に良く用いる「こわい」や「恐怖」の感覚とは違います。

「恐れる」は“恐ろしいと思う。心配する”の意。「怖れる」「懼れる」とも書く。「死を恐れる」「報復を恐れる」「失敗を恐れる」

これに対して「畏れる」は“能力の及ばないものをおそれ敬う”の意。

この「おそれ敬う」という点が大事です。つまりは先達を尊び、そこから教えを得るために貪欲に吸収しようという姿勢です。そして、これをわきまえて絵に臨むには、それなりの希望と努力と忍耐を持ち続けることが必要となります。謙虚さは必要ですが、悲観や卑下、嫉妬は持ってはなりません。

教室では失敗を恐れるの方は、沢山います。それは単なる怯えであり畏れるとは全く意味が違います。またどれだけ失敗が一番学びに有効だと言っても、悲観や卑下、嫉妬発言は絶えません。そういう発言は謙遜のつもりかも知れませんが、意味がありません。心理的にも全てマイナスに作用するのですが、いくら説明しても残念な事に聞き入れてはもらえません。もうそれについては私が諦めなくてはいけないのです。こういった態度は趣味として絵を続ける上では全く問題はありませんから。

しかし、中には絵を畏れるが故に苦悶と向き合っている方もいます。これこそが画家の素質だという事にさえ気付かずに格闘する姿は美しいものです。希望に満ちているからです。当然の事ながら教示内容は趣味で絵を描く人とは一線を画します。なるべくして画家になるまでを見届けたいものです。

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      ※写真は特に意味はありません。