アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

絵描きの日記

今日の教室では、受講生が家で仕上げて来られた絵があまりに良かったので感動して大喜びしました。画像は展示会を控えているのでアップしませんが、何が良かったかというと、その絵を観た方の心が幸福で穏やかになるオーラが出ていたからです。理屈抜きにそういう風に心に刺さってくる絵というのは意識して描けるものではないし、意識したらとてもいやらしくなります。

私も描かずに居れなくなって「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンを描きました。主人公リプリーが友人をヨットで殺してから青空市場を散策するシーン。罪悪感に苛まれることもなくリラックスしてぶらぶら歩きすることで常軌を逸した人格が炙り出され、今なお印象に残っています。ところが、紙残しで陽射しを表現したのは良いとして、毛髪がトルソーの様になって駄目になり、嫌気がさして途中で投げてしまいました。

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そもそも、幸福感を保ったままで殺人犯でサイコパスであるリプリーを描く時点で、私は何処かずれている気がします😅  

教室を終えて、次はまた太くて描きにくいサインペンの登場です!  樹木で鬱蒼としたベオグラードのアパルトマンの裏庭。建物は正面にもあって空間を塞いでおり、空は見えません。この様な場合は、木の葉を省略しないといけないという事だけ意識して描き始めました。陽当たりの良い手前の路面は、コンクリートのクラックやそこに生えている雑草だけで終わらせています。

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建物の陰影をパースに沿って横線を用いて描き、樹木の陰影にはわざと縦線を露骨に入れました。これは一見不自然で不味い方法に見えるのですが、私は横線と縦線の調和が愉快だと思います。これが自然だけのモチーフであれば、縦線は合わないし、遠近感がなさ過ぎて成立しないでしょうね。

ベオグラードは至るところにこういったモチーフが転がっています。というかこういうもので全体が出来上がっているのでたまりませんね☺️