アトリエ青 Atelier Blue

星つりじいさんの日々の暮らしをお届けしています

侘びと熱

今日は水彩画教室で波板やトタンの経年変化による錆び感を出したいという受講生さんに、思わず錆び良いですよね!と、私も相槌を打ちました。寂寞(せきばく)寂寥(せきりょう)など書けない熟語がどんどんiPadで出てきますが、物のあわれ、侘び寂びなど、日本の美意識の中で独自に海外に発信出来るのは、ものに対しても生命感を与える感性ではないかと思います。

この絵は錆びをレクチャーしたものではないのですが、昨日見つけた写真を元に午後に控えた受講生さんをお待ちしている間にそそくさと描きました。絵が錆びた感じにしたいというイメージを持って臨みました。

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石と建材や資材、そして鉄鋼。錆びには色々な色を潜ませる事が可能ですが、空にも錆び色を感じさせたいと考えました。仕掛けとしてはセルリアンブルーの水性ペンで適当にドローイングを施し、そこに補色のオレンジやピンクを水分多めに塗りました。セルリアンはそれに流されても微妙にグリーンまでも感じさせて残ります。画面右の樹葉の陰にビリジャンと黄緑を大胆に配置する事で、画面の所々に仕掛けるオレンジが紅く感じる効果があります。

錆びと一言で言っても、化学反応ですから、宇宙が燃える熱の様なものを感じてもらいたいです。そこが私の個性で、侘び寂びからは、かなりはみ出していると思います。